こんにちは、料理家の野上優佳子です。
夏の香りが近づいてくると、「お中元の季節」も到来ですね
7月初旬から8月初旬あたりが、いわゆるお中元シーズン、と言われます。
でも最近は減少傾向にあり、とあるアンケートによれば20〜30代の約8割が「贈らない」、またお中元を贈る相手も両親や義両親、親戚など身内がほとんど 、という結果が出ています。
お中元はもともと、道教の年中行事「三元」のひとつで旧暦7月15日にあたり、善悪を分別し人の罪を許す神様の誕生日が由来です。
人の罪を許される日が死者の罪の許しを願う日となり、これが仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)、いわゆるお盆と結びつき、ご先祖様への供物⇒贈答となって商売相手やお世話になった人へ贈り物をする風習が盛んになっていったそうです。
江戸時代には、 「生見玉(いきみたま)」と言って、日頃の無事を祝い生存している自分の両親に魚を贈る、なんて風習が流行ったのだそうです。
この魚は「盆魚」とも言われ、サバを用いる地域が多いのが特徴的。「盆礼」という言葉もお中元と同義に捉えられます。
そうめんや小麦粉、米などを実家などに一般的な贈答品や供物として持って訪問し、皆で飲食をにぎやかに楽しむ地域も多数。
今私たちがイメージするお中元とは、かなり違うようですね。
さて今回は、お中元の定番「そうめん」を使ったレシピをご紹介します。
ここ数年様々な市販のバラエティかけつゆが登場していますが、実は今年はそうめんの「かけつゆブーム」の兆し。
エビトマトクリーム味やカボチャの冷製ポタージュ味など、実にユニークでバラエティにとんだ市販商品が登場しています。
また、オリーブやトマト、オクラなどを生地に練り込んだそうめんもお目見えし、今年はまさにそうめんの変革期になるかも。
と言うわけで、冷たくしたそうめんを「だしつゆでツルリ」も大変おいしいですが、ちょっとしたアレンジメニューとしてエスニック風を楽しみませんか。
シーフードや夏野菜を使った、さっぱりそうめんの「エスニック風そうめん」をぜひお試し下さいね!
こんにちは!
韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国では、健康志向、いわゆるウェルビーイングブームが数年前から続いています。
そんな流れから、今、「精進料理」が注目されています。
精進料理は寺刹(サチャル)料理とも言い、もともとはお坊さんための食事ですよね。
仏教思想が根付いていた高麗時代(918〜1392年)、肉食が禁止されていました。この時代に出た書籍「山家清供」が、精進料理の源流になったと言われています。
精進料理は基本的に肉・海鮮・乳製品を使用せず野菜が中心です。
ただし、野菜の中でも「五辛菜(オシンチェ)」と言って、ニンニク、ネギ、ニラ、ヒメニラ、蔓穂(ツルボ)は、香りが強く滋養強壮に良いので使いません
五辛菜は元気になり過ぎて邪念を抱くため、修行中の身には不要とされていたのです。
韓国料理は、ヤンニョムと言って「合わせ調味料」が味の決め手になります。そこには必ずと言って良い程、長ネギ、ニンニクを使います。その一方で精進料理は「何」でおいしさを出すと思いますか?
それは、しょうゆ、みそ、コチュジャンなどで、手作りした調味料です。それらを駆使して精進料理をおいしく仕上げます。
一般的な韓国料理よりも、素材の味が前面に出ているんですね。
また、もうひとつ面白い点は、豆を肉に見立てて調理すること。
私自身、二度程、豆を使った精進料理を食べたことがありますが、お肉と錯覚しそうな程食感が似ています
韓国にはお坊さんがプロデュースするお店があり、テレビでも話題になりました。
優しい味の精進料理を口にしたら、韓国料理の奥行きを感じられると思います
それでは、本日のレシピ「サツマイモと干しシイタケの炊き込みご飯」をご紹介します。サツマイも干しシイタケも、精進料理ではよく使用する食材です。
今回はニンニクを使わずに作りましたが、お好みでシイタケの下味にニンニクを入れても構いません。
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
和食のユネスコ無形文化遺産登録が発表されて、早5ヵ月。
ニュースで発表されたときの興奮と比べると、クールダウンしてきたと感じる今日この頃です。
日本料理は、主食の飯+副菜が基本となり、献立を考えるときは飯、汁、菜、香の物の4点を基本とします。
とは言え…このニュースを聞いたとき、「和食について改めて日本人として聞かれたら答えられるかしら 」と思ったのは、私だけではないはず。
なんとなく使っている言葉の意味も、改めて聞かれると思わず言葉に詰まることはよくありますよね。
例えば「懐石料理」と「会席料理」 。
どちらも「かいせき」ですが、その違いとは…?
「懐石料理」は、茶道から発し、本来は茶を楽しむための物で茶の湯の世界では「懐石」とだけ言い、茶の湯から離れて料理のみが切り出されるようになって懐石料理と言う言葉になりました。
その奥深さは簡単に説明できるものではありませんが、特徴を挙げると、ひとつひとつ食べ終わるごとにそのつど料理が運ばれる、いわばコース仕立ての形式。
流派による違いなどがありますが、飯・汁・向付(刺身などが多い)は最初に出され、酒・煮物・焼き物・預け鉢(炊き合わせなど)・吸物・八寸(珍味など)・湯と香の物・菓子、と言った具合。
お客様に対して、「料理が適切な温度とタイミングで運ばれる」時系列を持つ料理であること、そして「食べられない飾りなどを排し、余分な物なく食べきることができる」というスタイルは、それまで主流だった一度にたくさんの膳を並べる本膳料理に対して大変画期的な物だったことでしょう。
一方、「会席料理」は、もともと武家の正式な膳立てである本膳料理から派生した物で簡素で実用的に変化を遂げ、江戸時代の料理茶屋で出される事になった、主に酒 を楽しむ宴席の料理です。
先付(前菜)・椀物(吸物)・向付(刺身など)・鉢肴(焼き物)・強肴(煮物)・止肴(酢の物や和え物)・飯や止め椀、香の物・水菓子と言った具合。
概略ではありますが、茶と酒、それぞれルーツや目的が違うのは大変面白いところですね。改めて、それぞれを頂くときに献立だけでない楽しみ方ができるのではないでしょうか。
さて今回は、旬の食材、アジを使った「アジの香味寿司」をご紹介します。
ミョウガや大葉などの香味野菜を混ぜ込んだ、季節を感じる爽やかな味わいです。ぜひお試し下さいね。
こんにちは!
料理家の ひろろ こと 竹内ひろみです。
梅雨時ってなんとなく疲労感があったり、頭痛がしたり、とにかく身体がズッシリと重い感じがしませんか?
この時期は普段より多い湿気が「湿邪(しつじゃ)」となって、身体にマイナスな影響を及ぼします 。
湿邪は体内停滞する性質があり、そのために水分代謝が悪くなり、ズッシリ感が出てしまうのです
このなんとなくだるい感じを回復させる方法のひとつが「食事」です 。
適度にカリウムを含み、水分代謝の動きを助けてくれるグリーンアスパラガスやそら豆、えんどう豆などを摂るといいですね。
またショウガや大葉(しそ)など身体の熱や湿気を発散させてくれる働きのある香味野菜もおすすめです
ショウガや大葉(しそ)は切ってから適度に水とお砂糖を入れて、煮てシロップにしておくと、炭酸水で割ったり、水で割ったりとドリンクとしておいしく頂けるので、この時期、我が家の冷蔵庫にはどちらかのシロップが常備されています。
そして、この時期おすすめのお助け食材が「梅干し」です。
以前、このブログでも梅干しのパワーについてはお伝えしているのですが、やはり梅雨のときこそ、代謝を促して身体をしゃきっとさせてくれるクエン酸を含む梅干しは食べたい食材ですね
「梅干し」その物の酸味が強すぎて食べづらい場合は、番茶に入れて梅番茶にしたり、きざんでご飯に加えてライスサラダ風にアレンジしたりすると摂りやすくなりますよ
さて、今回は水分代謝を助けてくれるアスパラガスを使ったレシピ「アスパラと豆のコロッケ」をご紹介します。
おいしい料理で梅雨シーズンを乗り切りましょう!