こんにちは、料理家の野上優佳子です
4月を迎え、心躍る春になりました
我が家のそばにある緑地帯は、区内有数のお花見スポット
数キロに渡って美しい桜のトンネルができ、多くの人がお散歩に出かけます。
「お花見」程、私たちの暮らしの中に浸透している行楽はないでしょう。
花と言えば、桜。
桜は、日本人に古くからとても愛されてきました
現存する最古の歌集と言われる「万葉集」にも、現在の奈良県にある春日山や高円山、龍田山といった、名所の桜の景色を愛でる歌がすでに残されており、人々と桜とのかかわりの長さをうかがい知ることができます
平安貴族の遊びから室町時代以降は、武家の隆盛を見せつけるような絢爛豪華な物へ、特に豊臣秀吉が催した花見の豪華さは歴史に名を残す程でした。
その地名を取って、「吉野の花見」「醍醐の花見」と言われ、醍醐の花見の参加者は、近親者から諸大名など1,000人を超すにぎわいだったそうです
江戸時代には庶民にも普及し、東京ならば飛鳥山や上野、隅田川あたりを名所として多くの人が楽しみました。
重箱にごちそうを詰めて、花を愛でながらお酒もちょいと。
江戸享和年間に刊行された「料理早指南」なるレシピ本には、「花見の提重箱」が紹介されていて、タケノコやワラビ、若鮎、卵焼き(かすてら玉子)と言った献立を、重箱の詰め方と共に提案しています。
陽気に誘われて、美しい花を肴にうまい物をつまむ
こんな素晴らしい風習が、数世紀を越えて、今なお息づく日本に生まれたことを、とてもうれしく思います。
海外では、公共の場で大々的にアルコールを飲むことが禁じられている国もあるので、このお花見文化は、まさに日本の風物詩です。
さて今週は、行楽や普段のお弁当におすすめしたい1品、「肉巻きゆで卵」をご紹介します。
ゆで卵に薄切り肉を巻いた、お子さんが大喜びするメニューです
ぜひお試し下さい