2015年3月の記事
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
私は、暇があれば5分でも読書したいほど本好き
文中に登場する食事の場面の食卓や、エッセイや紀行文の中で紹介される現地の料理
など、文章だけで説明されているのに、おいしそうでたまらなくて
心奪われることがしばしばあります。
織田作之助氏の『夫婦善哉』という小説では、主人公の柳吉と蝶子夫婦は食道楽で大阪のミナミに実在する飲食店が数多く登場することで有名です。
浪速の坊ちゃん育ちでダメ亭主である柳吉が、蝶子が芸者として座敷に出ている間に暇に任せて家で昆布の山椒煮を自分で炊く場面があります。
上等な昆布を細切りにして山椒の実と一緒に鍋に入れ、濃い口醬油をたっぷり使って、松炭のとろ火で、家から出ずに鍋につきっきりで火種を切らさず、二昼夜煮詰める、という手の込みよう。
この味は柳吉曰く「戎橋の【おぐらや】で売っている山椒昆布と同じ位のうまさになる」のだと。
【おぐらや】とは嘉永元年(1848年)から続く実在の大阪の老舗昆布専門店。
子どもの頃に読んだこの場面が忘れられず、大阪を初めて訪れたときに私が真っ先に購入したのは言うまでもありません。
この小説にかかわらず、これが実在するお店なら良いのですが、描かれる食事の場面が、どこかの家庭料理だったり、遠い国の旅先の経験だったり、遠い歴史や空想の世界になると、食べたくてもなかなかその味にたどり着けずに思いは募るばかり。
そうなると、自分で作るしかありません
また、文筆家の玉村豊男氏の『料理の四面体』というエッセイでは、冒頭にアルジェリア式羊肉シチューなる物が登場します。
筆者が旅先で出会った料理で、おんぼろの鍋にどぼどぼとオリーブ油を注いで熱し、その中にたっぷりのニンニク、骨付き羊肉、たっぷりの赤唐辛子粉、完熟トマト、じゃがいもを入れた煮込み料理。
その描写が垂涎ものなのですが、しかしアルジェリアは遠く、またアルジェリア料理店も見つからず……
しかし、どうしても食べたくて、何度も何度も試作するようになりました
そして、ついに私の得意料理のひとつになってしまいました
実はこんな風に、読んで心奪われ作り続けるうちに、我が家の定番家庭料理に変貌してしまった物がたくさんあります。
これもまた味覚の出会いですね
と言う訳で、今日は羊肉の煮込み料理をご紹介します。
スパイスの豊かなうまみを効かせました。
煮込むだけで簡単、でも絶品ですのでぜひお試しを
こんにちは!料理家の竹内ひろみです。
昨年のクリスマスホリデーに主人の出張に同行し、フィリピンに行ってきました
日本ではフィリピン料理にあまりなじみがかったので、おいしい食体験もできた小旅行になりました
フィリピン料理の味付けの特徴は、甘い味が多く、辛い物が少ないことです。
地元のハンバーガ屋さんで頂いたパスタやフライドポテトに添えてあったケチャップも甘く、他のアジア料理とはまた一味違った味わいでした
主食は日本と同じお米ですが、タイ米のため、お米だけを食べるということはあまりなく、味のついたおかずと一緒に盛り付けて頂きます。
シニガンというフィリピン特有のすっぱめのスープと一緒にお茶漬けのようにして頂いたのですが、これがとってもおいしかったです
その酸っぱさはタマリンドという東南アジア原産の果実から作られる調味料がベースになっているということ。
日本だと入手しづらい食材のため味の再現はなかなか難しいのですが、レモン果汁で代用すると似たような味になります
メインディッシュには豚肉、鶏肉を使ったお料理が登場することが多く、市場ではそれらの肉のすべての部位が売られていました
中には天井から豚の頭がぶら下がっていたり、鶏肉丸ごとが並べられていたりと、一緒に行った子供たちはその光景にびっくりした様子でした
さて、フィリピンのお祝い料理の主役となるのが、豚肉です。
クリスマスやお誕生日などお祝いの日は、豚の丸焼き一頭を丸ごとオーダーするのだそうですよ。
ちょうどクリスマスシーズンということもあり、私たちも豚料理を味わうことができました
食べ方は、まず焼き豚を切るところからスタートです
こんがりと焼けた豚肉を、ご招待頂いたお家のパパさんがナタのような包丁でガツン、ガツンと切り分けてくれましたよ
お肉はそのままソースを付けて頂き、皮の部分はパリッとさせるためにオーブンで焼きます。
北京ダックのような感じですね
その他にも、たくさんのお料理をママさんが作ってくれたのですが、どれも味付けが日本人好みの物ばかりで、とってもおいしかったです
さて、今日のレシピはフィリピンでお世話になったママさんが作ってくれたお料理をご紹介します
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
今から8年程前のことですが、韓国の知人からご招待を受け、家庭の料理を振る舞って頂いたことがあります。
そのときにインパクトのあった料理が、大皿に盛りつけられた数種類の干し野菜のナムルでした
干し野菜は韓国料理の基本概念である赤、緑、黄、白、黒の五色の食材を取り込むと健康に良いという思想からはかけ離れた、地味な色合いからは一見おいしそうに見えませんが、これらのナムルをビビンバに入れて食べたときの衝撃は今でも忘れられません
各干し野菜の旨味の相乗効果で深い味わいとなったビビンバは、コチュジャンとの相性も抜群でした。
韓国では、かなり保存食品が発達していると以前もこちらのブログに書きましたが、日本では珍しい干した山菜や野菜の種類がとても多いのが特徴です。
これは韓国は冬の寒さが厳しく冬場の食糧を確保しておく必要があったためや、旬の食材を大切にする日本とは少し違い、ひとつの食品が常に食べられる状態であることを重要視しているためです。
気候の良いときに採った山菜や野菜を干し、旬以外の時期にも食べられるよう長期間保存できるようにしているのです。
韓国料理で多用する梨も同様で、旬のときに収穫したものを一年中使えるように冷蔵庫で保存します。
干し野菜にすると、生のときに含まれていたビタミンCは少なくなりますが、カルシウムとの相乗効果で骨を強くするビタミンDや、三大栄養素の代謝をアップするビタミンB群、ミネラルのカルシウムや鉄分が増えます。
お店で買うと値段がやや値が張る干し野菜ですが、自宅で簡単に作れます
洗った野菜は丁寧に水気をふき、5mm幅くらいにスライスしたら、ザルの上に重ならないように並べます。
天日干しで、数時間程度。風通しの良い家の中でしたら、1〜2日。途中、表と裏をひっくり返すのを忘れずに。
そして、保存の際は乾燥剤を入れた瓶などの密閉できる容器に入れておくと良いです。
ただ、干し方が弱いとカビが生えてきますので、長期保存したい場合は、カラカラになるまできちんと干して下さいね
それでは、本日のレシピは干しズッキーニのナムルです。
料理教室で、密かに人気の一品なのですよ。
お時間のある方は、ズッキーニを干すところから挑戦してみて下さい
こんにちは!
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
最近、パンケーキ、エッグベネディクトなどの朝食メニューがブームになっていますよね
次にブームになると言われているメニューは・・・
こちらの『エッグスラット』です
『エッグスラット』は、ガラスのビンやココットなどに味付けをしたマッシュポテトを入れ、その上に卵を割り入れて湯せんした料理のことを指し、アメリカ西海岸で流行している料理です。
半熟の卵をくずしてマッシュポテトと混ぜ合わせた物を、トーストしたパンにのせて食べると、これが絶品なのです
ジャガイモには、加熱しても壊れにくいビタミンC、食物繊維が豊富に含まれており、卵には良質のたんぱく質、ビタミンB群、鉄分が豊富に含まれていますので、栄養バランスも良く朝食にピッタリの一品ですね
今回のレシピは『エッグスラット』をご紹介しています。
マッシュポテトは電子レンジを使って簡単に作れちゃいます
ぜひお試し下さい