こんにちは、料理家の野上優佳子です。
以前、こちらのブログでも紹介しました、オレゴン州ポートランドへ1週間程出かけて来ました
ポートランドはアメリカで最も住みたい街と名高く、サステイナブル(sustainable/持続可能)な食を牽引(けんいん)している都市でもあります。
ポートランドに関しては、過去の記事「ポートランドから学ぶ農業と街と人との関係性」で少しお話していますので、ぜひこちらもご覧下さい
そんなポートランドで食にかかわる仕事をしている友人のガイドのもと、スーパーマーケットやファーム、ファーマーズマーケットを回ってきました
特にグローサリーストア(食料品店・スーパーマーケット)は、実際に生活している人の様子を知るにはもってこいの場所。
特産品や生鮮食品など、その土地だけでしか扱っていない物があり、旅行の先々で訪れるたびに驚きと発見があります。
こういった場所を見て回るのも、旅の楽しみのひとつ
そういった方はたくさんいらっしゃると思います。
私もそのひとりです。
旅行に行くと必ずと言っていい程、現地のグローサリーストアに足を運ぶのですよ
今回のポートランドでは、4つのチェーン店を回ってみました
そのうちのひとつは、Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)です。
テキサス州発祥のマーケットで、北米を中心に展開しています。
食と健康への意識が高い人に信頼の厚い、グローサリーチェーンの代表格と言えるでしょう。
ナチュラル&オーガニックをコンセプトとしており、比較的高級志向のスーパーです。
次に訪れたのはロサンゼルス発祥のTrader Joe's(トレーダー・ジョーズ)。
こちらはWhole Foods Marketよりも少しお値段が安めで、プライベートブランドが豊富です。
高級食材やオーガニックフードも品揃えが良く、オリジナリティーがある商品がウリのスーパーです。
この2つのチェーン店は日本でも比較的有名なスーパーです。
オリジナルのエコバッグが日本でも人気になり、名前を知っている方もいるのではないでしょうか?
それから足を向けたのが、私が以前から行ってみたかったポートランド発祥のNew Seasons Market(ニュー シーズンズ マーケット)です。
オレゴン州を中心に、西海岸に現在19店舗展開しています。
実際に店内を見ると、オーガニックフードがとても充実していて、野菜や果物だけでなく、肉や魚、チーズや加工食品なども豊富です
地元の生産者と直接契約して仕入れられた商品が多く、鮮度も良かった印象があります。
またNew Seasons Marketは、同じオレゴン州内でも店舗(各都市やエリア)によって仕入先を変えており、各店舗では地元の人に向けた試食会やイベントを積極的に行なっています
これだけ見ると、日本全国にある道の駅や、その他のスーパーマーケットでもしていることでは?と思いますよね。
しかしNew Seasons Marketの特長は、自分たちの利益や成功を地域のコミュニティで分かち合うことが正しい、という信念のもとにビジネスがあること
同チェーンが得た税引き後の利益の10%を、地元の農業や教育、貧困層を支援する市民団体に、毎年寄付することを公約しています。
ホームページには、生産者が直接卸し交渉できる窓口を設けていることからも、ローカルと良い関係を築こうとする姿勢が見えてきます。
最後の1店は、こちらもオレゴン発祥のグローサリーストア、Market of Choice(マーケット オブ チョイス)で、現在10店舗を展開中です。
New Seasons Market同様にオーガニックでローカルな商品を扱うグローサリーストアで、その姿勢から企業理念が伝わります。
ローカルの基準をオレゴン州内と定義付け、「州内の店舗の周囲半径100マイルの物を扱う」としています。
ローカルという曖昧(あいまい)とした範囲で定義付けることで、フードマイレージを下げる活動にも繋がるという訳です。
その他、地元の学校で行なう食育プログラム支援や、児童虐待を防止する救済保育プログラムへの募金イベントの開催などにも尽力しているそうです。
日本でも各社様々な社会活動をしていますが、ポートランドのように地元に密着した活動や、私たちが直接肌で感じ取れるものは意外と少ないような気がします。
今回、ポートランドで展開するグローサリーストアのあり方から、企業の努力に頼るだけでなく、私たち消費者一人ひとりがごく自然に、日常の中で意志を持って購入先を選択することの大切さを痛感しました。
そして、その選択こそが、豊かでサステイナブルな食を支えることを、この旅で改めて感じました。
アメリカ西海岸にお出かけの際は、ぜひ個性あふれる地元スーパーマーケットを選んでお出かけしてみてはいかがでしょうか。
さて今回は、脂肪の少ない鶏むね肉を使ったデリ風のサラダ「ゆで鶏と卵のサラダ」をご紹介します。
ゴロっとした食材で食べ応え満点のサラダは、サンドイッチの具にもオススメです
ぜひお試し下さい
こんにちは!料理家の竹内ひろみです。
今年の夏休みは、イギリスのロンドンへ旅行に行きました
旅の楽しみのひとつは、その土地ならではの食を味わうこと。
今回のイギリス旅行でも、現地のスーパーに行ったり、市場やレストランなどを巡ったり、おいしい食べ物をたくさん頂きました
どの国にも独自の伝統料理があり、もちろんイギリスにもあります。
イギリスの伝統料理は、素材の味を活かしたシンプルな物が多いです。
英国料理はおいしくないというのは過去の話であり、現在はバラエティに富んだいろいろな料理を味わうことができます
ロンドンの街中を歩いていて目に付く料理店の看板は、フィッシュ&チップス、イングリッシュブレックファースト、そしてパブ
です。
どれもイギリス伝統の料理が楽しめるお店なのですよ
そのうちの何軒かに立ち寄りましたので、イギリスの味をご紹介します
フィッシュ&チップスとは、タラのフライにフライドポテトを添えたファストフード。
古くからイギリスで親しまれており、伝統がありますが、テイクアウトもできる手軽な料理です。
揚げ立てで熱々の物に、塩とモルトビネガーというお酢をかけて自分の好みの味付けで頂きます。
フライ自体に味付けがされていないので、塩とお酢が味の決め手になります。
モルトビネガーは日本ではあまり見かけないお酢ですが、これは大麦の麦芽とトウモロコシの抽出液を発酵させた物です。
日本の一般的な米酢に比べると、酸味が少し抑えられているように感じました。
調味料とその国固有の伝統料理には深いかかわりがあり、お酢もその一例です。
モルトビネガーをフィッシュ&チップスにかけることで、油っこい料理がさっぱりし、よりおいしく食べられます
同じ「お酢」という調味料ですが、日本の米酢をフィッシュ&チップスにかけても不思議と味が合わないのです
伝統的なイングリッシュブレックファーストと言うと、ボリューム満点のイメージがありますね。
そのイメージ通り、ベイクドビーンズ、ソーセージ、目玉焼き、ベーコン、マッシュルーム、パンなどなど、ワンプレートに所狭しと盛り付けられていました
イングリッシュブレックファーストの中で、「あれ?味!?食感が違う??」と感じた物が、ソーセージ。
日本やドイツのソーセージは、原料に100%肉を使用していますが、どうやらイギリスのソーセージは肉が50%程度、他にパン粉やハーブ、油脂を詰めて作るのが一般的なようです。
普段食べ慣れているソーセージを想像していたため、別物に感じました
今回の旅行は子供たちを連れていたので、年齢制限のあるパブには、残念ながら入れませんでしたが、お店の前を通ったときに、雰囲気を味わうことができました。
パブは夕方になると、お店の外まで人があふれ、お酒を手にしたお客さんでとても賑わっていました。
近年のパブはお酒を提供するだけでなく、伝統料理や格式の高い料理を味わえるお店もあるようです。
お酒の提供が主なパブ、食事のメニューが豊富なガストロパブが登場するなど、パブも時代に合わせて幅が広がっています
旅行をしていて、ロンドンは本当にいろいろな食文化が混じり合っている街だと感じました。
スーパーで売っている物やレストランで食べられる物も多様性に富んでいるので、自分に合った食のスタイルを楽しむことができるのです
皆さんも、イギリスへ旅行に行ったら、その多様性を楽しんで下さいね
さて今回は、素材の味を活かした料理「野菜と豆の煮物」をご紹介します。
洋風の煮物は、野菜と大豆をホールトマトで煮込んだ素朴な味わい。
ブイヨンを使った味付けですが、パンだけでなくご飯にも不思議と合います。
ぜひ作ってみて下さいね
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
先月、ソウルから車で1時間程の場所にある利川(イチョン)という街に行ってきました
イチョンはお米の産地として有名な地で、朝鮮時代には収穫されたお米が王様に献上されていた過去がある程、上質なお米が穫れる土地です
お米の産地ゆえに白米をウリにした定食屋が数多く、イチョンに軒を連ねる多くの飲食店では、食べ切れない量のおかずが味わえます。
このおもてなしはイチョンだけに限りません。
韓国ではお客様をもてなすとき、お膳の足が折れる程に沢山の料理を出すのが良いと言われており、このようなサービスは他の飲食店で度々見かけます。
韓定食で名高い全州(チョンジュ)では、特にその様子がすごいのです。
6名分の座卓に約30種類の料理を乗せて、お客様の前にそのまま運ぶという演出があるのですが、何度見てもこのお料理の数々には驚きと感動があります
韓国料理の特徴として、上記のようにたくさんのおかずでお客様をもてなす他、ご飯やおかゆの種類が豊富といった点にあります。
日本料理もそうですが、これは韓国料理がご飯とスープを基本にした膳からなるためでしょう。
その中でも韓国らしいご飯のひとつ、「栄養ご飯(ヨンヤンパプ)」という炊き込みご飯(釜飯)をご紹介します
栄養ご飯とは、米になつめ、栗、松の実などを一緒に炊き込んだ、具沢山の炊き込みご飯(釜飯)のことです。
韓国料理は「薬食同源」の概念があり、なつめ、栗、松の実を使った物は特に、薬のような栄養食と考えられていました。
朝鮮時代にはこの「栄養ご飯」はお客様のおもてなしや、貴族や目上の方たちのための特別食として食べられていたのです。
食材の薬膳的な効能は下記のようになります。
なつめ:気を補強し、造血により精神を安定させる。
栗:胃腸を丈夫にして、血行を促進する。
松の実:老化を防止し、肺を潤す。
こう見ると、滋養強壮的な薬効の食材が中心になっていることが分かります
使用する食材は上記以外に雑穀、豆類、高麗人参、野菜、きのこ、ナッツ類などがあります。
また栄養ご飯を盛り付けるときの工夫も色々です。
例えば、くり抜いたカボチャに詰めた物、竹筒を器にした物、蓮の葉っぱに包んだ物などがあります。
今では、栄養ご飯は庶民的な食事として親しまれており、街には専門店もできてきました。
専門店で出される物は、石釜や土鍋でのところが多く、炊飯器では難しいカリカリとしたおこげの食感が魅力的です
石釜や土鍋の栄養ご飯では必ずと言っていい程、最後におこげを作り、そこに湯を注いで、おこげ茶という物を作ります。
これは日本で言う、お茶漬けやおかゆに近い物です。
おこげ茶は消化吸収を促進するので、ちょっと食べ過ぎたあとでも胃腸をすっきりさせてくれるのですよ
韓国に訪れた際には、一度栄養ご飯(釜飯)の専門店に行ってみて下さい。
日本の釜飯屋とは違った風情も味わえるはずです
さて、今日のレシピは炊飯器で作る「栄養ご飯」です。
韓国の炊き込みご飯の特徴は、食べるときに好みの量のタレをかけて頂きます。
このタレはクセになる味わいで、ついつい食べ過ぎてしまうことも。
とても簡単なので、お試し下さい
こんにちは!
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
秋の運動会&行楽シーズンですね。
この時期は、お弁当を作る機会が増えますが、お弁当の定番おかずと言えば……唐揚げという方も多いかと
皆さんは鶏肉の唐揚げを作るときは、どの部位を使いますか?
もも肉やむね肉が定番かと思いますが、手羽肉を使った「チューリップ」という唐揚げもおすすめです。
唐揚げで手羽?とあまりピンと来ない方もいるかもしれませんが、昔は手羽も唐揚げの定番部位だったのですよ
そこで今回のブログは鶏の手羽肉についてご紹介します
鶏手羽とは、鶏肉の翼の部位のことです。
画像では、右側から「手羽元」「手羽中」「手羽先」の順に並んでいます。
■手羽元(てばもと)
翼の付け根の部分で、別名「ウィングスティック」と呼ばれています。
手羽肉の中では一番肉の部分が多く、肉質がやわらかいのが特徴です。
■手羽中(てばなか)
手羽先の先端にある尖った部分(手羽端)を関節で切り落とした部位で、手羽先の一部分でもあります。
つまり、手羽先=手羽中+手羽端ということになります。
冒頭で触れた「チューリップ」は、主に手羽中を使って作ります。
「チューリップ」は、手羽中に切れ目を入れて骨を1本抜き、肉をひっくり返し、形を整えて作ります。
唐揚げにすると骨が持ち手になって食べやすいので、パーティーやお弁当に重宝するのです。
私が子どもの頃は、唐揚げと言えば「チューリップ」が定番でした。
しかし、最近はもも肉やむね肉に比べて調理に手間がかかるなどの理由で、チューリップの唐揚げは家庭でも店頭でもマイナーな存在になっているそうです。
慣れ親しんでいた身としては、少し寂しいですね
ちなみに手羽中を開いた物や、手羽中を串に刺した物は焼鳥屋では「イカダ串」と呼ばれています。
また、手羽中を二つに割った物は「チキンリブ」と呼ばれています。
■手羽先(てばさき)
手羽の先の部分で、肉の部分は少ないのですが、ゼラチン質と脂肪を多く含んでいます。
手羽元に比べ、皮の部分が多いためカロリーは高めですが、コラーゲンとビタミンAが多く含まれており、美肌効果が期待できます。
コラーゲンは、熱を加えると溶け出す性質があるので、骨ごとじっくり煮込んでスープなどにし、汁ごと食べるなど効率良く摂取するのがおすすめです。
コラーゲンの生成を助ける働きのあるビタミンCを含む、ニンジンやダイコンなどと一緒にスープにすると良いでしょう。
煮ても良し焼いても良し
揚げても良し
の、おいしくリーズナブルで美肌効果の高い鶏手羽肉
ぜひ食卓に取り入れてみて下さいね
さて今回は、そんな鶏手羽を使った「鶏手羽のバーベキューグリル」をご紹介します。
レシピでは手羽中を使用し、子どもから大人まで好きなピリ辛の味付けにしてみました。
おつまみやお弁当にもオススメの一品ですので、ぜひ作ってみて下さいね