こんにちは、料理家の野上優佳子です。
先日、スーパーで立派な新ショウガを見付けました
私の大好物の野菜で、この時期だけ楽しめる食材なのです
新ショウガとは簡単に言うと、ショウガの新根のことで、新ショウガもひねショウガも栄養価にほとんど違いはありません。
特長としては、通常は数ヵ月寝かせてから出荷される「ひねショウガ」よりも繊維がやわらかい、皮が薄い、辛みが少ない、みずみずしいといった点があります。
ショウガと言えば普段は薬味や肉や魚の臭み消しといった、香辛料として使われることが多い食材ですよね。
しかし新ショウガはその食べやすさから、他の野菜と同じように新ショウガ自体を味わえるのが魅力のひとつ
その代表的な料理が、お寿司のお供でおなじみの「ガリ」(ショウガの甘酢漬け)です。
お漬物感覚でポリポリと食べることができるのは、新ショウガならではでしょう
ちなみに、長期保存ができるとされているショウガですが、それはひねショウガのこと。
新ショウガは足が早いので、くれぐれも注意して下さい
ショウガは香辛料としてだけではなく、薬効の豊かな食材として古くから知られています。
現在でも生姜(ショウキ)の名で漢方薬に用いられており、健胃作用や吐き気止めの効果があるそうです
またショウガに含まれる辛味成分(ショウガオール)が体を温めてくれることから、ショウガを入れた飲み物は風邪に効くと言われ昔からよく飲まれてきました。
ここ最近では、数年前にジンジャーシロップが若い女性の間でブームになったり、某テレビ番組で酢ショウガが紹介され話題になったりしました。
ショウガを使ったレシピ本も数多くあることから、その注目度の高さがよく分かりますね
そこで今回は、そんなショウガを使った「新ショウガのドレッシング」をご紹介します。
我が家では毎年ガリを漬けていたのですが、ここ数年はガリよりも子どもたちが食べやすいということで、こちらのドレッシングを作るようにしています。
新ショウガが出回るこの時期しか作れないので、本当に楽しみです。
もちろんひねショウガでも作れるのですが、辛みが強すぎてあまりおいしくできないので、やはり新ショウガで作るのが一番
新ショウガと一緒に、新タマネギを使うのがポイントです。
どちらも今が旬の食材で、新物は辛みが少なく水分が多いので、わざわざ辛み抜きをしなくてもよい手軽さがうれしいところ。
ドレッシングというと、あくまで野菜を食べるための調味料という印象が強いですが、我が家のドレッシングは「野菜で野菜を食べる」といったイメージで野菜をたっぷり使って作ります。
旬の食材で作るドレッシングは、夏バテ気味の体も元気にしてくれますよ
冷蔵庫で保存すれば1週間は持ちますので、たっぷり作っても大丈夫
野菜のみならず、焼いたり蒸したりしたお肉や魚のソースにもおすすめです。
この時期だからこそご紹介できるレシピですので、ぜひ試してみて下さいね
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
スーパーに行くと、いつからかパプリカをよく見かけるようになりましたね。
今ではすっかりお馴染みの食材として定着していますが、私が子供のときは見たことも、食べたこともなかった気がします。
それもそのはず。
パプリカは、オランダからの生鮮品輸入が解禁された1993年以降に日本に入ってきた食材のため、日本人からすると比較的、目新しい野菜なのです
ではなぜ近年、このように身近になったのか。
皆様はご存知でしょうか?
理由は大まかに2つあります。
ひとつは、食材としての使い勝手の良さです
赤や黄色、オレンジの色をしたパプリカは、料理の彩りにもってこいの食材です。
サラダなどの加熱しない料理にはもちろん、加熱しても退色することなく色鮮やかなため、炒め物、煮込み料理に入れても、料理がカラフルになり食欲をそそります
またピーマンよりも苦味がなく、青臭さも少ないので子供でも食べやすいことなどが、普及の理由となっているのではないでしょうか
もうひとつの理由は、韓国産の普及による価格低下によることです。
日本で流通するパプリカは、そのほとんどを輸入に頼っています。
パプリカは元々、オランダから輸入をしていましたが、輸送費などの影響で価格は高く、初めはなかなか手が届く食材ではありませんでした。
しかし2000年ごろから手頃な価格の韓国産パプリカが日本に輸入されるようになり、そこから急速に普及していきます。
2014年の財務省データによると、今では輸入の69.3%が韓国産となっています
ちなみに韓国では20年程前に、オランダから技術指導を受けて、パプリカの温室栽培をスタートしました
2000年には生産性向上や輸出促進のため、韓国パプリカ生産者自助会が設立。
韓国内需要の促進を目的とする他、位置関係から輸出のターゲットを日本に定め、衛生管理や流通経路を徹底させたのです。
こういった韓国側の働きがあり、日本では新鮮なパプリカが手に入りやすくなったことから、韓国産の輸入量が増えていったのでしょう。
生産国である韓国では、パプリカをどのように食べているのかですが、大まかには日本と同じで、サラダや炒め物に使います。
また韓国料理は青、赤、黄、白、黒の五色を使って一品に仕上げることが多いので、チャプチェやクジョルパンといった宮廷料理を現代風にアレンジした物にも、彩りとして使われます。
その他には輪切りにして、中にひき肉ダネを詰め、小麦粉と卵液をまぶして焼くチョンというチヂミ料理にすることも多いです。
このところ、韓国ではキウイの生産も急増し、日本へも輸出されるようになっています
その一方で、日本からはゴーヤなどが出荷され、韓国で売られているそうです
食の交流が活発なのは、両国にとって良い流れですね
それでは、本日のレシピです。
今回はパプリカを使った漬物、「パプリカの酢じょうゆ漬け(パプリカチャンアチ)」です。
韓国には昔からしょうゆを使った漬物があり、保存食としてよく食べられています。
本来はしょうゆを多く使うのですが、パプリカの色をきれいに見せるために、薄口しょうゆを少量にしました。
常備菜としてもおすすめですのでぜひ作ってみて下さい
こんにちは。
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
すっかり春めいて、花粉症の方にとってはつらい季節になりました
この時期は、朝晩と日中の寒暖差が激しいため、出かけるときの服装をどうするか悩みますよね
気温が上がるとつい薄着をしがちですが、暑くなったり寒くなったりを繰り返す春も、意外と体が冷えるので注意が必要です
「冷え」は万病の元とも言われていますので、放置せずに早めに対処した方が良いでしょう
具体的には、湯舟に浸かって体を温めたり、血行を促進する運動をしたり、体を温める食材を食事に取り入れたりするなどです
生活習慣を少し見直すだけで、冷えの対策になりそうですね
そこで今回は、冷え性対策にぴったりの体を温める食材のひとつ、「カブ」に注目してみます。
白い「カブ」はその見た目から雪を連想させ、俳句では冬の季語として使われています。
私の住む関西地方では、お正月に京都の「聖護院カブ」で作った「千枚漬け」を食べる習慣があり、「カブ」=「冬」のイメージが強いです。
しかし、実は「カブ」の旬は3〜5月の春と10〜11月の秋の二季があります。
春の「カブ」はやわらかく、秋の「カブ」は甘みが強いのが特徴です。
「カブ」が体を温める食材とされている理由は、その栄養成分にあります
白い根の部分は淡色野菜で、主な栄養素はビタミンC、消化酵素のアミラーゼで、消化吸収を助け、整腸作用が期待できます。
一方、葉の部分は緑黄色野菜で、ビタミンA・C、カリウム、カルシウム、鉄分を豊富に含み、高血圧、ガン予防、むくみ解消、美肌などに効果が期待できます。
根にも葉にも共通して含まれるビタミンCには、血液の主要な材料となる鉄分の吸収を促進したり、毛細血管の機能を保持したりする働きがあり、冷え性に効果があると言われています
冷え性の対策として「カブ」を料理で使うときは、やはり温かい煮物やお味噌汁にするのがおすすめです。
他に、根の部分はアクが少ないので、生のままサラダや和え物にしてもおいしいですし、葉の部分は漬物、炒め物、佃煮にするなど調理のバリエーションは数え切れない程あります。
「カブ」は葉を付けたまま保存すると、根の栄養分や水分が葉に持っていかれ、しなびやすくなるので、早めに根と葉を切り離しましょう。
切り離した葉はすぐにしおれてしまいますので、日を置かずに調理します。
根の部分は冷蔵庫の野菜室など涼しい所で保存すれば、一週間程度は持ちます。
さて、今回は胃腸に優しく春の冷え性に効果的な「サワラのゆず風味かぶら蒸し」をご紹介します。
カブをすりおろしてメレンゲを加え、トロトロの食感に仕上げました。
風味付けのゆずも体を温める食材なので、冷え性対策にぴったりです。
ぜひお試しを
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
まだまだ寒さが厳しい、冬まっただ中ですね
しかし、寒さが厳しいからこそ味わえる旬野菜があります。
それは「寒(かん)じめ野菜」と呼ばれる物です。
寒じめとは、収穫間近になった野菜を寒気にさらす栽培方法のことです。
寒じめすることで野菜は寒さに耐えようとし、作物中の水分を減らし糖分を増加させます。
これによって甘みが増すという仕組みなのです。
またビタミンCやβカロテンなどの栄養素も増加します
例えば、ちぢみホウレンソウ(写真向かって右)やちぢみ小松菜(写真向かって左)はその代表的な物で、ビニールハウスで育てた野菜を収穫前にわざと冷気にあてるという方法で栽培されています。
また雪中(せっちゅう)ニンジンは、本来は秋に収穫するニンジンを雪が降るまで置いておき、まさに雪の中から掘り出して収穫します。
品種によっては糖度が12度以上となり、果物に匹敵する甘さになるのです。
寒じめ野菜のもうひとつの特長は、冬場は虫の被害も少なく、ほとんど無農薬で育てられるということ。
消費者の私たちには、うれしいことがたくさん詰まった野菜という訳ですね
このような野菜の育て方は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、通称「農研機構」の東北農研によって開発された技術だそうです
元々東北は、特に冬は厳しい風土条件のために野菜の栽培が難しい地域でした。
それが技術の進歩や研究によって、悪条件を好条件に変え、野菜に付加価値を持たせることに成功したとは驚きです
寒じめ野菜を味わうことができるのは、今の時期だけ
スーパーや八百屋さんで見かけたら、ぜひ味わってみて下さいね。
さて今回は、雪中ニンジンを使った、温かいポタージュのレシピをご紹介します。
ニンジンが苦手な方でも食べられるように味を調整しました。
寒い日に温まるだけではなく栄養もたっぷり摂れるので、ぜひお試し下さい