こんにちは!
韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国料理に欠かせない野菜と言えば、ニンニクや唐辛子の他にネギが挙げられます。
では韓国でネギは、いつ頃から食べられていたのでしょう?
そもそもネギの歴史は古く、中国では紀元前からネギに関する記録があるそうです。
原産地は中国西部・中央アジアと言われており、中国から朝鮮半島に渡ってきました。
韓国に残っている記録としては、10世紀後期の高麗時代の詩人・李圭報(イ・キュポ)が記した書物に、彼が畑に植えた野菜としてネギが挙げられ、薬味やお酒のつまみとして食したと書かれています
また10世紀後期は汁物文化が発達した時代でもあったため、その頃からすでにネギがスープなどに使われていたようです。
ネギは白い部分が淡白食野菜に、緑の部分が緑黄食野菜に分類され、部位により栄養価が違います。
白い部分はビタミンCが豊富で、緑の部分はビタミンCに加えて、βカロテン、カルシウムも含みます。
刺激臭のもとである硫化アリルはビタミンB1の吸収を助けるため、豚肉と一緒に食べるのがお勧めです
さらに、辛みのもとは体を温める働きがあります。
韓国では寒さが厳しいため、ネギを含め体を温める食材が多く食べられてるのです。
日本と同様に韓国にもネギに種類があり、長ネギ、わけぎ、あさつきなどが流通しています。
中でも長ネギは場所によって使い分けし、使用することが多いです。
例えば1本を3ヵ所に分け、青い部分は肉などを煮込むとき素材の臭みを取るための香味野菜として、中間はスープに入れる薬味として、根元の部分はみじん切りにして合わせ調味料にします。
和食ではあまりしない使い方ですが、昆布や煮干しで出汁を取るときに長ネギの青い部分を一緒に入れると、ネギの甘みが出ておいしくなります
韓国料理で多く使われるしょうゆベースの合わせ調味料には、ほぼ必ずと言っていい程ネギのみじん切りが入ります。
ご参考までにその合わせ調味料の材料は↓こちらです。しょうゆ
砂糖
ゴマ油
ネギのみじん切り
ニンニクのみじん切り(または、すりおろし)
すりゴマ
コショウ
こちらの材料をすべてボウルに入れ、混ぜ合わせるだけです
肉にも野菜にも合うので、上記の合わせ調味料を覚えておくととても便利ですよネギの保存方法ですが、長いまま保存したい場合は濡らした新聞紙に包んで野菜室に入れておくと良いでしょう
また冷凍庫で保存をする場合は、みじん切りや小口切りにしてから小分けにして冷凍すれば、使いたいときにさっと取り出してお料理に入れられるので便利です
冷凍した場合は、だいたい1ヵ月日持ちします。
ぜひ長ネギを使いこなして、おいしい韓国料理を作ってみて下さいね
それでは本日のレシピは、「タチウオの煮付け(カルチジョリム)」をご紹介します。
煮付けの合わせ調味料に入れたネギのみじん切りは、魚の臭みを取る働きもあります。
タチウオの煮付けは、韓国では専門店もある程にポピュラーな料理ですので、ぜひ作ってみて下さいね
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
まだ韓国をよく知らなかった頃、簡単に食事を済まそうとラーメン屋に入りました
そのときの衝撃といったら
メニューにあるラーメンは、どれもインスタント麺に野菜や肉などの具が入ったものでした。
日本のラーメン屋を想像していたので、なんだか損をした気分のままお店をあとにしたのを覚えています
ここ数年は韓国でも、日本のラーメン店が進出したことで生麺が徐々に認知されてきました。
しかし、そうは言っても韓国では今でもラーメンと言えば、インスタントの乾麺が主流です
韓国はラーメンの歴史が浅く、1960年代に日本メーカーと韓国の会社がタイアップして乾麺の製造を開始したのが始まりでした。
その後は瞬く間に浸透し、今ではすっかりお馴染みの食材となっています。
一年間の消費量は2014年度の統計によりますと、日本人が43.3食、一方の韓国は72.5食と2倍近く食べているそうです。
ちなみに韓国人は野菜、肉も日本人の倍近く食べているといった統計が出ていますので、1回の食事量が多いということですね。
韓流ドラマが好きな方だったら、一度はご覧になったことがあるかと思いますが、韓国ではラーメンを独特な食べ方で食べます。
アルミの鍋でラーメンを作り、食べるときは器に盛り付けることなく鍋のまま食卓に移動。
そして、汁が落ちないように片手で鍋の蓋を持ちながら、蓋をお皿のようにして麺を載せつつ食べるのです
また先日、韓国で見た光景なのですが、若い女性がコンビニで購入したカップラーメンを店頭で食べていました。
その際にカップラーメンの薄い蓋を円錐形にして、そこに一口量の麺を入れつつ口に運んでいたのです。
その器用な食べ方には、さすがにビックリしました
そして食べ方だけではなく、韓国の調理法も少し独特です。
代表的な物と言えば以前もブログ記事でご紹介した部隊チゲ(ブデチゲ)があります。
(ブログ記事:http://www.nasluck-kitchen.jp/blog/index.asp?entry_id=283)
この部隊チゲは、韓国の食事情が悪かった朝鮮戦争中に、アメリカの部隊のあった地域で生まれた鍋料理で、特徴的なのはソーセージやスパムなどの肉加工品や、インスタントラーメンが使われていることです。
今ではすっかり韓国の定番鍋となりました
またちょっと前に流行った物で、インスタントのジャージャー麺とインスタントのチゲ風ラーメンを組み合わせた「チャパグリ」というものがあります。
味の違う二つの組み合わせは、なかなか想像ができないですよね
実際に食べてみたことがありますが、ジャージャー麺の甘さとチゲ風ラーメンの辛さがあいまって……何とも説明しがたい味で、「おもしろい」という印象でした。
クセになる方もいるようですので、機会がありましたらぜひお試し下さい
韓国では、まだまだ色々なインスタントラーメンの食べ方が出てきそうです
さて、本日のレシピは韓国の餅とラーメンを組み合わせた「ラーメントッポギ(ラッポギ)」です。
麺にもちと炭水化物がたっぷりのレシピですので、この料理を作る日はダイエットをちょっとお休みして、ラーメントッポギを楽しんで下さいね
こんにちは。
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
秋の果物の代表である『柿』が旬を迎えましたね
『柿』は、日本を代表する秋の果物ですが、アメリカやブラジル、ヨーロッパなどでも栽培されています。
実はヨーロッパでも柿は『kaki(かき)』という名で呼ばれているのです。
『柿』と一言で言っても様々な品種があり、そのまま食べてもおいしい品種から干し柿やジャムにしたほうがおいしい品種まであります。
一般的には、「甘柿」「渋柿」と分けられていますが、見た目では区別することはできません。
画像の右側のふたつは、「平核無柿(ひらたねなしがき)」という渋柿です。
渋柿なので、出荷前に炭酸ガスなどで渋を抜いてから出荷されます。
このように、渋を抜いて処理をした柿を「合わせ柿」または「さわし柿」と呼びます。
実は、今回『柿』について調べるに当たり、私自身が渋柿についてずっと誤解をしていたことが分かりました
昔は軒先でよく吊るされている光景を目にした干し柿は、一般的に細長い形をしていることが多いため、平らな形のものはすべて甘柿で、細長い柿はすべて渋柿だと思い込んでいたのです。
しかし調べていくうちにそれは間違いだと知り、目からうろこが落ちました……
渋柿だと思っていた左のふたつは、実は『筆柿(ふでがき)』という甘柿だったのです。ただし、「筆柿」は不完全甘柿といった分類に入り、一本の樹に甘柿と渋柿の両方がなるといった特徴があります。
渋柿の割合は1割程と言われていますが、ロシアンルーレットのように当たり外れのある状態では出荷できません。
そのため産地では甘柿と渋柿を見分けることができる機械を導入し、渋柿が混ざらないように注意を払っているそうです。甘柿と渋柿の違いは、柿の渋の原因であるタンニン(シブオール)の状態の違いによります。
実は甘柿も渋柿もどちらも同じくらいの量のタンニンが含まれているのですが、甘柿は水に溶けない状態で果肉に含まれており、唾液にタンニンが溶け出さないので渋味を感じることがないのです
逆に、渋柿はタンニンが水に溶ける状態で含まれているため、唾液にタンニンが溶け出すことで渋味を感じてしまいます
そこで渋柿は、天日で当てて干し柿にしたり、炭酸ガスやアルコールで処理をしたりして、水溶性のタンニンを不溶性に変えて渋味を感じないようにし、そのままでもおいしく食べられるようにする工夫がなされています。
『柿』って奥が深い果物ですね〜
さて、今回は、『柿とベーコンのチーズ焼き』をご紹介しています。
甘い柿とベーコン、チーズの塩気がベストマッチのおつまみレシピです。
意外な組み合わせですが、くせになるおいしさですよ
ぜひお試し下さい
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
秋になるとおいしい栗が食べられますね。
この季節は栗おこわ、栗きんとん、モンブランなど、栗を使った料理やスイーツがたくさん
韓国にも栗を使った料理が数多くあります。
栗を使った韓国料理と言えば、薬食(ヤクシク)が真っ先に挙げられます。
(薬食レシピ:http://www.nasluck-kitchen.jp/recipe/index.asp?menu_id=003464)
薬食は非常に歴史が古く、韓国の伝説に登場している食べ物です。
五世紀の新羅時代の記録によると、当時の宮中で不祥事があり王様の命が危険にさらされる事件がおこりました。
そのとき王様は遠乗りの途中で目の前に現れた鳥やねずみ、豚たちの進言によって命を救われます。
この鳥たちの働きに感謝した王様は、事件のあった1月15日を祭祀とし、そのときに捧げたおこわが「薬食」なのです。
当時のおこわには、鳥が好きななつめしか入っていなかったのですが、のちに栗や松の実も入るようになりました。
現在では、冠婚葬祭の料理に必ず栗、なつめ、松の実が入り、縁起の良い食べ物のひとつとなっています
また薬食以外にも、牛肉と野菜を煮込んだカルビチム、お粥、サムゲタンなどの料理で栗が使われています。
お菓子では、蒸してから潰した栗にハチミツを混ぜ合わせ、栗の形に形成したユルラン(栗卵)が代表的です。
その他にも韓国では、日本と違って生で栗を食べることがあります
千切りにしてキムチに入れたり、生野菜と和えたりします。
初めて生を食べたときは私も衝撃的でしたが、いまではサクサクとした生栗の食感が病み付きになっています
みなさまも機会があったら一度召し上がってみて下さい
さて、そもそも朝鮮半島では、いつ頃から栗が食べられていたのでしょうか?
実は、栗を食べる歴史はかなり古く、石器時代に遡るそうです。
ソウルの岩寺洞(アンサムドン)などの遺跡から、村を作って狩猟をし、栗などの木の実を採取し暮らしていたことが分かっています。
また、中国の三国志魏書には、朝鮮半島に梨ぐらい大きな栗があったと記録が残されているのですよ
ちなみに栗は栄養的にみると、糖質の代謝を促すビタミンB1が豊富です。
つまりは糖質であるご飯を分解してくれるので、栗ご飯は理に適っているということですね
またナトリウムを排出するカリウムも多く、血圧を下げる働きがあります。
話題のポリフェノールの一種であるタンニンが多く、抗酸化作用により風邪をひきにくくなり、さらにはアンチエイジングにも繋がると期待されています
通常、熱に弱いビタミンCですが、栗についてはでんぷんで守られているので、加熱によって壊れることがありません。
栗は栄養満点なおすすめ食材……と言いたいところですが、実はカロリーが高めの食材ですのでたくさん食べ過ぎないようにご注意下さい
大きさにもよりますが、適量は一日3〜4粒程度です。
それでは本日のレシピは、「栗となつめの炊き込みご飯」です。
松の実も入れて、縁起の良い食材を揃えました
日本の炊き込みご飯と違う点は、最初に味を付けずタレをかけながら頂くこと
味を調節しつつ食べられるので、自分好みの味に仕上がりますよ
ぜひ作ってみて下さいね