こんにちは!
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
春はこの時期にしか味わえない旬の食材が出回り、お料理が楽しいですね
今回は、春の季語にもなっている旬の魚『いかなご』についてご紹介します。
『いかなご』は、関西(特に兵庫県内)での呼び名ですので、兵庫県以外にお住まいの方はピンとこないかもしれません。
諸説ありますが、 『いかなご』という名前の由来は、何の魚の稚魚なのか分からなかったので「いかなる魚の子なりや」と言われ、それがなまって『いかなご』になったとの説があります(笑)
確かに・・・ちりめんじゃこの原料になるイワシ類に比べると目がギョロギョロとしているように感じますが、小さいので何の魚の子か見分けられませんね
ちなみに、東日本では小女子(こおなご)と呼ばれることが多く、成長した物は大女子(おおなご)や女郎人(めろうど)と呼ばれるなど、様々な呼び名がある魚です『いかなご』にはカルシウムが豊富に含まれており、内臓にはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれていますので、昔から骨を丈夫にするカルシウム源として重宝されてきました。
いかなごと言えば、『くぎ煮』が有名です。
くぎ煮と言う言葉の由来は、煮上がったいかなごの身体がぐっと釘のように曲がっている様子から名付けられたそうです。
『くぎ煮』の基本の味付けは、しょうゆ・ざらめ(砂糖)・酒・みりんですが、各家庭によって秘伝の配合があるようで、我が家のくぎ煮が一番!とばかりに自慢のくぎ煮をあちこちに配る風習があります。
1月の下旬頃に、いかなご漁の解禁日が発表されるのですが、その頃になると一斉にくぎ煮を炊くので、町が甘い匂いでいっぱいになる地域もあるそう
さて今回は、釜揚げ(塩ゆで)のいかなごと旬の春キャベツを合わせた『いかなごと春キャベツのペペロンチーノ』をご紹介します。
くぎ煮とはまた違ったいかなごのおいしさが味わえます。ぜひお試し下さい
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
世界各国に旅行に出かけ、その土地ならではの食べ物
に出会うことは本当に楽しいことですね
どの国にも郷土料理や家庭料理があり、その成り立ちから国の歴史や風土を垣間見ることができます。
アメリカに住んでいた頃も色々な所でアメリカの郷土料理をたくさん楽しむことができました。
ルイジアナ州周辺のケイジャン料理やクレオール料理、テキサス周辺のTex-Mex(メキシコ風のアメリカ料理)など、多国籍国家ならではの発展を遂げていて、なかなか興味深いです。
敷居の高い店など行かずとも、ハイウェイ周辺のダイナーなどでもその土地の味を楽しめるのは、日本と変わりませんね。
写真:ダイナーは、プレハブ造りが一般的
その中でちょっと驚いたのが、おなじみの定番料理「チキンフライドステーキ」。
別名「カントリーフライドステーキ」とも呼ばれ、南部を中心に古くから愛される家庭料理で、テキサス州発祥と言われています。
最初に食べたときは、名前と実物が一致せずに、不思議でなりませんでした。
「ステーキ」と言っても焼いたお肉ではなく、薄く叩いた肉に衣が付いて揚げ焼きをしているのです。
それは良しとして、食べてみるとお肉がチキン ではなくて、どう見ても味わっても・・・牛肉・・・
チキンって書いてなかったっけ?
それにオーストリアの郷土料理であるウィーンシュニッツエルに似ている感じ。
調べてみると、19世紀にドイツやオーストリアからの移民によってこの料理がもたらされ、テキサス州にある2つの町が「我こそは発祥地だ」と名乗っていて、毎年お祭りなども開催されているそうです
レシピ本 に登場するのは1838年、バージニア州の主婦だったMary Randolph(メアリー ランドルフ)氏によりその料理が記述されています。
1900年代前半にはすでに辞書の中にこの言葉が収録されています。
広いアメリカ全土に広くこの料理が浸透したのは、おそらく物流が車主体だった時代に長距離ドライバーたちがそのおいしさを伝えていき、広まったのではないかと思います。
ちなみに、なぜビーフなのにチキンなのか
それはフライドチキン風の味付けだからというのが、定説のひとつのようです。
さて本日は、この「チキンフライドステーキ」の作り方をご紹介します。
お子さまにも間違いなく喜ばれる味です
ぜひお試し下さい。
こんにちは!
韓国料理研究家の本田朋美です。
ソルロンタンという料理をご存じですか?
牛肉や骨を長時間煮込んで作る白濁したスープで、中にはスライスした牛肉とネギなどが入ります
韓国には100年続く老舗の専門店があります。
そもそもソルロンタンは、高麗時代末期にモンゴルから伝わった料理との説があり、その歴史は古いんですね。
高麗時代は仏教の影響で肉を食べることを禁止していましたが、モンゴルとの往来が増えるにつれて肉料理を用意しなければならない機会が増え、そうした過程で作られるようになったのが、牛肉を水で煮る料理のソルロンタンだそうです。
韓国専門店のメニューには、ソルロンタンの他にスライスした牛肉だけの料理もあります。
これを「スユク」と言います。
いわゆる「ゆで肉」のことですが、豚肉などのゆで肉もスユクと言います。
食べるときは酢醤油やアミの塩辛を付けてそのままでもOKです。
また、野菜で包んで食べる方法も有名ですね。
また、ソルロンタンに入っている肉のことは、「ピョニュク」と言います。
肉を料理に応用した場合の呼称で、単品名とは区別されています。
ところで、韓国料理には必ずスープが付いてきます。
料理をする際、肉でだしを取ることが多いので、その材料として使用された物もしっかり食べ切れるように工夫しているのです。
「肉」と言えば真っ先に焼肉が思い浮かびますが、ゆでただけのスユクも、韓国では代表的な肉料理と言えます。
さて、本日ご紹介するレシピはその「スユク」です。
ゆで肉の作り方はとても簡単。
臭みがでないように一手間かけるだけで、安いブロック肉でもおいしく作れます
ゆで汁は捨てずに、スープに活用して下さいね。
今の時期でしたら、具材にダイコンの使用をおすすめします。
牛肉の旨みがしみ込んだダイコンは絶品ですよ
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
今日のテーマは、今が旬の「牡蠣(カキ)」です。
大別すると「真牡蠣(マガキ)」、「岩牡蠣(イワガキ)」、「地牡蠣(ジガキ)」の3つに分類されるそうで、私たちにおなじみなのはマガキとイワガキですね。
そして秋から冬にかけて旬を迎えるのはマガキです。
9月頃に産卵を終えるマガキは、次の産卵期(春)になるまで栄養を蓄えていきます。
身が太るこの期間が一番美味 と言うわけです。
日本ではカキはいつ頃から食べられ始めたのでしょうか。
東京・北区の中里遺跡には縄文時代中期に形成された貝塚が見つかり、カキとハマグリの殻が大量に見つかっています。
他の貝殻が混ざっていないため、そこはカキとハマグリの養殖場だったのではと言われています。
そして生食で頂くのが一般的になるのは明治維新以降です。世界に目を向けてみると、ヨーロッパにおけるカキの生食の習慣はとても早く、古代ローマ帝国ではカキの養殖も行なわれ、貴族たちがイギリスからカキを取り寄せ
ガルム(魚醤の一種)やワイン、ビネガー、オリーブオイル、黒こしょう等を混ぜた物と和えて食べたようで、魚介類の生食をあまりしない欧米ですがカキだけは特別なようです。
遡って18世紀、ジャン=フランソワ・ド・トロワという画家による『カキの昼食』 と言うフランス革命前の絵画は、貴族たちが生カキを食べる様子が描かれています。
そして現在でも、フランスでは冬になるとずらりと殻付きのカキが並び、エカイエ(écailler)というカキの殻を剥く職業があることからも食文化の深さと長さを垣間見ることができます。またアメリカ(ボストン)はシーフード料理のメッカ。
オイスターバーも数多くその中でも最古のレストランは1826年に創業されました。アジアを見れば、韓国では、チヂミやクッパ、お粥の具として定番ですし、長い食文化の歴史を持つ中国では干ガキを戻した煮込み等を始め、炒めたり蒸したりと大変数多くの種類のカキ料理があります。
生でよし、蒸してよし、煮てよし、焼いてよし!
今だからこそ味わえるカキ、たっぷり楽しみたいですね。
さて今回は、タスマニアの伝統料理のひとつ「オイスターキルパトリック」のレシピをご紹介します。
ビールにもワインとも相性抜群!
本来は殻付きで焼きますが、今回は作りやすくむき身を使ってグラタン皿で焼きます。
とてもシンプルなレシピなので、ぜひお試し下さいね。