こんにちは
料理家のひろろこと竹内ひろみです。
私の祖母の実家が酒蔵ということもあり、この時期になると酒粕が実家から送られてきます。
酒粕は体にとって嬉しい効果が凝縮されている食材だということを、みなさまはご存知でしょうか?
私にとっては馴染み深い食材ですが、中には使ったことがないという方もいるかと思います。
そこで、そもそも酒粕とは「何か」からお話ししましょう!
酒粕とは、日本酒ができる過程で出る残り物のことです。
日本酒は米、それに水と米麹を発酵させてできた「もろみ」を濾(こ)した物なのですが、この日本酒を作る過程で濾し残った物が酒粕です。
食品は発酵すると、栄養素やその機能がそれぞれの微生物の働きで変化し、旨み、栄養価が増します
酒粕も例外ではありません。
発酵することにより、たんぱく質(アミノ酸)をはじめとしたビタミンB1、B2などのビタミン類が豊富になります
しかし、酒粕はアルコール分を含むため、私のようにアルコールが苦手な人や、妊婦さん、お子さんは十分に注意が必要です。
調味料として使用したり、甘酒や粕汁などにしたりして飲む場合は、しっかりと火にかけてアルコールを十分に飛ばしてあげると良いでしょう。
その際は、換気扇を回すのをお忘れなく。
換気扇を回さずにアルコールを飛ばすと、部屋中がアルコール臭くなりますのでご注意下さい
また酒粕によっては、酒粕内に残留しているアルコール分が多い物もありますので、様子を見ながら使うと良いでしょう。
調味料として使う場合は、酒粕に塩と水を加えて塩酒粕にしたり、白味噌と水を加えて少し甘めの味噌酒粕にしたりして、野菜や肉、魚の漬け込み調味料として使うのがおすすめです。
酒粕を少し加えるだけで食材の旨みが引き出され、コクのあるおいしさがプラスされますよ
塩酒粕や味噌酒粕を作る際には、酒粕に少々水を加えてフードプロセッサーにかけておくと滑らかになり使いやすくなります
酒粕は調味料として使う以外にも活用できます。
例えば甘酒です。
米麹と米で作る方法もありますが、酒粕を使えばとても簡単に作れます!
【材料】
●酒粕(アルコールが入ってます) 1枚
●水 2.5カップ
●砂糖 大さじ4〜5
【作り方】鍋に酒粕を適当な大きさに切って入れ、水1カップ、砂糖を加えて火にかける。
砂糖がとけたら火を止める。熱を取ってからミキサーにかけ、残りの水を加えてとろみを調節する。
再度温めてできあがり。
ミキサーにかけると口当たりが滑らかになります。
また、使い切れずに残ってしまった酒粕や、どうしてもアルコール分が強いと思う物は、酒粕パックとして美容液代わりにするのがおすすめです。
酒粕に精製水を加えてとろみが付くぐらいに調整すれば、酒粕パックが完成
顔に塗ってしばらく置き、洗い流すだけなのですが、美肌効果が期待できるパックです。
保湿効果もあるので、空気が乾燥している冬場にぜひお試し下さい。
(腕の内側でパッチテストをしてからご使用下さいね)
みなさんも酒粕を活用して、おいしくキレイになりましょう
それでは今回ご紹介するレシピは、「酒粕漬けのポークグリル」です。
豚肉を漬け込む味噌酒粕は、豚肉以外にも使えるオーソドックスな漬け込みダレのレシピです。
魚や野菜など、様々な食材を漬け込んでみて下さいね
こんにちは!料理家の竹内ひろみです。
先日、本を読んでいた子供から突然「何で、ゼリーを作るときに生の果物(パイナップルなど)を加えるとゼラチンが固まらないの?」と質問がありました。
みなさんはその理由を知っていますか?
実はパイナップルやキウイフルーツ、メロンなどの果物には、タンパク質を分解してしまう酵素が入っているため、タンパク質を主成分としているゼラチンは固まらないのです。
しかし知識だけを教え、「そうなんだ……」で終わってしまうのはもったいない
そこで、実際に体験することでもっと興味を持って欲しいと思い、実験をしてみることにしました
生のパイナップルと加熱したパイナップル(砂糖をふりかけさっとソテー)を用意し、子供と一緒にゼリーを作ってみることに
やはり生のパイナップルが入った物は固まらずいつまで経っても液体のままですが、加熱したパイナップルを入れた物はきちんと固まっていました
これは加熱することでパイナップルの持つ酵素が壊れ、タンパク質を分解する働きがなくなってしまうためです。
本に書いてあったことが実証され、子供も「面白い」と作り方への理解が深まったようでした。
机上で覚えた知識は忘れてしまうことが多いのですが、こうして実際にやってみると知識が身に付きますね
子供と一緒に料理をするときは、「なぜそうするのか」や「なぜそうなるのか」といった、理由をしっかり教えて上げると良いですよ
調理科学を説明しながら作ると覚えが早く、ひとりで料理を進めることができるようになっていきます
また、これは子供だけではなく、大人にも言えることです
例えば青菜をゆでるときに、沸騰した湯に塩を加えると色良く仕上がります。
これは、青菜に含まれるクロロフィル(葉緑素)は加熱すると色あせてしまうのですが、塩のナトリウムイオンと結合することでそれを防ぎ、変色せず緑色が保てるからなのです。
料理をするときに、そのことを説明してから調理すると、ひとりで調理するときにも塩を忘れずに加えてゆでることができます
料理は、感覚でやっているといった方や、本に書いてあるから、人に教わったからそうしているといった方が、結構多いとは思います。
しかし、「なぜそうするのか」といったことや、「なぜそうなるのか」といった調理科学を知っていると、失敗なくおいしい料理が作れるのでおすすめです
ゼリーの実験をしたあとで、ちょうど子供が家庭科でご飯を炊く実習があるということで、おいしくできるようご飯の炊き方を伝授しました
そのポイントはこちら↓です研ぎ方のコツ
乾いたお米は水を吸収しやすくなっています。
そのためお米を研ぐときには、最初の水はぬかの臭みがお米に移らないように、手早くかきまぜてすぐに捨てましょう浸水する意味
研いだお米は、しばらく水に浸けておきます。
お米は水に浸けることででんぷんが分解され、米の内部まで熱が伝わりやすくなり、ふっくらとしたご飯が炊けます炊くときの火加減
難しいと言われる炊くときの火加減ですが、土鍋や厚手の鍋なら沸騰するまでは強火、沸騰したら弱火でOKです。
土鍋や厚手の鍋は昔の羽釜のように熱の伝わりが遅く、またガスはカマドの火より強くないので、最初から強火で炊いた方がおいしく炊き上がります
ご飯を炊くときのポイントを作りながら伝えたところ、実際の授業で「とてもおいしくご飯が炊けた!」と子供からうれしい報告が
ぜひぜひ、みなさんも調理の「なぜそうするのか?」「なぜそうなるのか?」を理解して、お料理をしてみて下さいね。
それでは今回ご紹介するレシピは、小松菜を使った「青菜と豆腐のざっくり和え」です。
小松菜はさっとゆでたあと、しょうゆ洗いをし余分な水分を切り水っぽさを少なくしています。
しょうゆ洗いとは塩分の浸透圧を利用し余分な水分とともにアクや臭みを取り除く、調理科学に基づく下処理です。
方法は、食材にしょうゆを少量まわしかけて絞るだけですが、この一手間がさらにおいしくしてくれますよ
ぜひ、試してみて下さい
こんにちは!料理家のひろろこと竹内ひろみです。
寒さがひとしお身にしみる季節となりました。
この時期のおいしい味覚のひとつと言えば、リンゴやミカンなどの果物がありますね。
そのまま頂いてもおいしい果物ですが、寒い冬にはやはり温かい物を食べたくなります
そこで今回は、冬場にフルーツをおいしく食べる調理方法をご紹介します。
果物には、リンゴ、バナナ、ミカンなどのように、加熱することで味が凝縮し、風味やおいしさがアップする物があります。
また、果物は加熱すると甘味が増すように感じますね。
これは、人間の舌にある味蕾(ミライ:味覚を感じる器官)が、食材の温度が体温に近いと甘味を強く感じるためです。
ちょっとひと手間加えるだけで、果物のおいしさが再発見できますね!
リンゴは丸ごとオーブンで焼いたり、バナナやミカンはオーブントースタで皮ごと焼いたりする調理法があります。
他に、リンゴやバナナはフライパンでソテーするなど様々な方法があります。
我が家では、焼きリンゴや焼きバナナをよく作るのですが、子供たちにも好評です
アツアツのリンゴやバナナは、トロリと濃厚な味わいに変化します。
味のアクセントにシナモンをかけたり、ヨーグルトと一緒に食べたりといろいろ楽しめます。
また、加熱すると栄養面でも様々な効用がアップします。
例えばバナナは整腸作用がある果物ですが、ホットバナナにすると腸が冷えにくくなります。
腸の活動を促すため、便秘気味の方にはうれしい効果ではないでしょうか。
リンゴに含まれるアップルペクチンは、他のペクチンよりも腸内の悪玉菌を制御する力が強く、善玉菌を増やす作用があると言われています。
アップルペクチンは加熱しても壊れないので、やわらかくて食べやすくなる加熱調理はおすすめです
ミカンの皮は「陳皮」と呼ばれ、薬効が高いため、漢方の生薬として使われています。
ミカンを皮ごと焼くことで皮の成分が果肉に染み込み、ミカンの栄養を余すところなく摂ることができます
このように加熱調理する利点はたくさんあります。
この冬は果物を温めて食べてみてはいかがでしょうか。
さて今回のレシピは「ナッツ風味のタルトタタン」をご紹介します。
タルトタタンとは、甘く煮詰めたリンゴに、タルト生地を被せて焼くフランスのお菓子です。
タルト生地にはミックスナッツを加え、より風味豊かに仕上げています。
ぜひ、作ってみて下さいね
こんにちは!料理家のひろろこと竹内ひろみです。
最近、健康をテーマに取り上げたテレビや雑誌で、よく見かける言葉があります。
それは「AGE」です
AGEとは終末糖化産物(Advanced Glycation End Products/アドバンス グリケーション エンド プロダクツ)、すなわちタンパク質と糖が結びついて異常を起こした物質のことです。
蓄積すると身体の老化を早めると言われています。
タンパク質は髪の毛、皮膚、筋肉など、身体のあらゆる組織を作るのに必要な栄養素です。
AGEが体内に溜まると、タンパク質の働きを低下させ、様々な障害を引き起こしてしまいます
例えばコラーゲンがAGE化すると肌の弾力が失われたり、しみができたり、肌の老化につながったりするのです
AGEという物質は、体内で作られるものと、食べ物から摂取されるものがあります。
体内で作られるAGEは、食後の血糖値上昇によってできる余分な糖とタンパク質が結びついて生まれます。
そのため、高血糖が長く続けば続く程、AGEが生成されやすくなるのです。
また、食べ物から摂取されるAGEは、タンパク質と糖が加熱されて茶色くなったものに多く含まれます。
例えばから揚げなどの揚げ物や焼き鳥など、高温で調理されたものはAGE量が多いです。
おいしい食事を摂るだけで、AGEが蓄積してしまうのは、何とも悩ましいところですが、何も対策をしないわけにはいきません
AGEを溜めない方法のひとつが、食生活の見直しです
・食事は血糖値の上昇が緩やかになるように、サラダやスープなどの野菜から順に食べましょう。
・AGE量が多い食品や、料理を頻繁に摂らないようにしましょう。(例えば グリルされたステーキやから揚げ、パンケーキなど高温で調理されたものや、電子レンジで温め直して高温になったもの)
・調理法は生、蒸す、茹でるなど加熱温度が100℃以下になる調理方法を取り入れましょう。
また、食事はゆっくりとよく噛んで、リラックスして頂くことが大切です
さて今回は、AGEを生成しにくい、「豆とフレッシュ野菜のサラダ」をご紹介します。
アボカドを使うことで、口当たりの滑らかなサラダに仕上げています。
食材を切って和えるだけの簡単レシピですので、もう少し野菜を摂りたいときに便利な一品です。
ぜひ作ってみて下さいね。