こんにちは。
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
早いもので、今年最後のブログ更新となりました
今年最後の更新ということで、来年に向けて「おせち料理」のお話を少々……
おせちは作らない、食べない方もいらっしゃると思いますが、最近は縁起物だからと黒豆やきんとん、ごまめ(田作り/たつくりの別名)などの代表的な数品は手作りし、あとは市販品などを組み合わせるハイブリッド派も多いようです。
中には、今年初めておせちを作ってみようという方もいらっしゃるのでは
おせち料理のレシピを開くと、普段見慣れない「これは食材なの??」といった物が書かれており、戸惑う方も多いようです。
おせちの材料には「ミョウバン」や「クチナシの実」、「錆びた釘(古釘)」など、普段の調理ではあまり見かけない食材を目にします。
ミョウバンやクチナシの実はともかくとしても、「錆びた釘(古釘)」だなんて……
間違えてDIY(日曜大工)の本でも見ているのかと首をかしげてしまいますよね
でも、これもれっきとしたおせちの材料なのです
そこで、今回はそんな『おせち作りの謎の食材』についてご紹介します
まずは画像の右側の白い顆粒、「ミョウバン」についてご紹介します
ミョウバンは、正式名を「硫酸アルミニウムカリウム」と言います。
食品衛生法による分類上では、ラーメンに使用されている「かんすい」などと同じ指定添加物です
ミョウバンまたはカリミョウバン、焼きミョウバンなどの名称でスーパーなどで販売されており、ナスの漬け物やゆでタコ、ウニなどの色を安定させるために使用されています。
おせち料理では、色を鮮やかにするために栗きんとんやごぼうのアク抜き、食材の歯ごたえを良くするための下処理に使用します。
次に、画像の左側「クチナシの実」についてご紹介します。
クチナシとはアカネ科の樹木で、6〜7月に白くてきれいな花を咲かせます。
「クチナシの実」として一般的に使われているのは、このクチナシの果実を乾燥した物で、別名・山梔子(さんしし)とも呼ばれ漢方としても使われている物です。
乾燥した実を水に浸すか熱湯で煮出すことで黄色の色素が溶け出し、それを食品の色づけや布の染料として使用します。
おせち料理では、きんとんを鮮やかな黄色に仕上げるために使われています。
最後に、問題の「錆びた釘(古釘)」ですが……
錆びた釘を入れることで、煮汁に溶け込んだ鉄分と黒豆の色素であるアントシアニンが結合し、アントシアニン色素が水に溶けてしまうのを防いでくれるため漆黒の黒豆煮が仕上がります。
もちろん、そのまま入れるのではなく、錆はきれいに落としてガーゼなどの布に包み、たこ糸などで縛って入れます。
また、最近は錆びた釘の代わりに使える専用の還元鉄も販売されていますので、「錆びた釘はちょっと入れたくない……」と言う方はそちらを使ってもOKです。
今回ご紹介した物は、色を鮮やかに仕上げたり、見た目を良くしたりするために使う物なので、手に入らないようであれば使わなくてもOKです
必ずこうしなくてはいけないという決まりではありませんで、肩の力を抜いておせち料理作りにチャレンジしてみて下さいね
さて、今回はクチナシの実を使って色鮮やかに仕上げた『リンゴとサツマイモのきんとん』をご紹介します。
リンゴの甘酸っぱさがアクセントのきんとんは、子供から大人までおいしく頂けるお味です
今年はリンゴとサツマイモのきんとんを、おせちの一品に加えてみてはいかがでしょう
それでは、皆さまの新しい年が色鮮やかで爽やかな楽しい一年となりますように
今年も一年ありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
いよいよ今年も間もなく終わりとなります。
大掃除やら忘年会やらで、皆さん目まぐるしい毎日ではないでしょうか。
皆さんは大晦日(おおみそか)にはどんなふうに過ごしますか?
必ず食べる物はありますでしょうか?
一般的に大晦日に食べられる物となると、やはり年越しそばかと思います
年越しそばの由来は、実に様々です。
例えば「細く長く幸せをそばからかきこむ」といった謂(いわ)れや、「そばは切れやすいから1年の災厄を断ち切るために食べる」といった謂れがあります。
またその他にも、「そばは金を集める縁起食材」であるという謂れがあります。
この「そばは金を集める」といった謂れは、元々は江戸の金細工師が仕事納めにそばがき(そば粉を練っただんごのような物)で畳の目に詰まった金粉
をくっつけて取ったことから由来しているそうです
また、そばにはつきものである薬味のネギですが、実はこれも縁起物です。
ネギ→労ぐ(ねぐ)に通ずると言われており、労ぐとは古語で「心を和らげる」という意味になります。
そこから年越しそばと共にネギを食べることで、「1年の穢れを落とし、心安らかに新年を迎える」と言われているのです。
ちなみにこの労ぐという言葉は、神社の宮司の補佐役である役職「禰宜(ねぎ)」の由来ともなっているのだとか。
ネギには薬味という味覚としての役割はもちろん、実は縁起的な意味も紐付いているのです。
もうひとつ、大晦日の食べ物をご紹介しましょう
東北地方を中心に今でも残る風習で、「年取り膳(としとりぜん)」というものもあるのをご存知でしょうか?
これは大晦日に食べる夕方膳を言い、1年の無事を感謝し新しい年神様を迎えるための祝いの食事を、1人ずつのお膳にして食べる風習のことです。
地域によってお膳の献立の違いはありますが、お膳のひとつに魚を食べる地域がとても多く、そのときに食べる魚を「年取り魚(としとりざかな)」と呼びます。
東北の一部では真鱈を、東日本全域は塩鮭、静岡などではカツオ、西日本はブリ、その他では尾頭付き鯛を食べる地域もあります。
地域ごとに違う魚が年取り魚として食べられているだなんて、とても不思議ですね
今年は心機一転、お住いの地域以外で食べられる年取り魚を食べてみてはいかがでしょうか
いつもとは少し違ったお正月を迎えられるかもしれませんよ
さて今回は、おせちのメニューや年取り膳にも使える「サケの粕漬け」をご紹介します。
粕床作りはとても簡単
一度覚えたら、鱈やサワラなどの魚類だけでなく、お肉にも活用できます。
ぜひお試し下さいね
こんにちは!料理家のひろろこと竹内ひろみです。
寒さがひとしお身にしみる季節となりました。
この時期のおいしい味覚のひとつと言えば、リンゴやミカンなどの果物がありますね。
そのまま頂いてもおいしい果物ですが、寒い冬にはやはり温かい物を食べたくなります
そこで今回は、冬場にフルーツをおいしく食べる調理方法をご紹介します。
果物には、リンゴ、バナナ、ミカンなどのように、加熱することで味が凝縮し、風味やおいしさがアップする物があります。
また、果物は加熱すると甘味が増すように感じますね。
これは、人間の舌にある味蕾(ミライ:味覚を感じる器官)が、食材の温度が体温に近いと甘味を強く感じるためです。
ちょっとひと手間加えるだけで、果物のおいしさが再発見できますね!
リンゴは丸ごとオーブンで焼いたり、バナナやミカンはオーブントースタで皮ごと焼いたりする調理法があります。
他に、リンゴやバナナはフライパンでソテーするなど様々な方法があります。
我が家では、焼きリンゴや焼きバナナをよく作るのですが、子供たちにも好評です
アツアツのリンゴやバナナは、トロリと濃厚な味わいに変化します。
味のアクセントにシナモンをかけたり、ヨーグルトと一緒に食べたりといろいろ楽しめます。
また、加熱すると栄養面でも様々な効用がアップします。
例えばバナナは整腸作用がある果物ですが、ホットバナナにすると腸が冷えにくくなります。
腸の活動を促すため、便秘気味の方にはうれしい効果ではないでしょうか。
リンゴに含まれるアップルペクチンは、他のペクチンよりも腸内の悪玉菌を制御する力が強く、善玉菌を増やす作用があると言われています。
アップルペクチンは加熱しても壊れないので、やわらかくて食べやすくなる加熱調理はおすすめです
ミカンの皮は「陳皮」と呼ばれ、薬効が高いため、漢方の生薬として使われています。
ミカンを皮ごと焼くことで皮の成分が果肉に染み込み、ミカンの栄養を余すところなく摂ることができます
このように加熱調理する利点はたくさんあります。
この冬は果物を温めて食べてみてはいかがでしょうか。
さて今回のレシピは「ナッツ風味のタルトタタン」をご紹介します。
タルトタタンとは、甘く煮詰めたリンゴに、タルト生地を被せて焼くフランスのお菓子です。
タルト生地にはミックスナッツを加え、より風味豊かに仕上げています。
ぜひ、作ってみて下さいね
こんにちは
韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国では緑茶よりも伝統茶がよく飲まれています。
以前ブログでご紹介しましたが、韓国伝統茶とは果実、種実、花、茎、根、野草などを使ったお茶のことです
(韓国伝統茶の紹介記事:http://www.nasluck-kitchen.jp/blog/index.asp?entry_id=719)
その中でも「シッケ」と「スジョンガ」は韓国を代表する伝統飲料で、缶の状態で市販もされている程ポピュラー
どちらもお正月やお盆などの祝日やお祝いの席で飲まれる物です。
お正月も近いということで、今回のブログでは韓国で愛飲されている「シッケ」と「スジョンガ」をご紹介します
◆シッケ
韓国版の甘酒です。
麦芽と水をよく合わせ、しばらくそのまま置いておくと分離するので、上澄みをすくい、蒸かしたご飯と合わせて炊飯器の保温機能で発酵させます。
ご飯を濾して液体だけを加熱すると、色が透き通ってきます。それを冷やして、お好みで濾したご飯粒を入れます。
麦芽にはでんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼという消化酵素がたっぷり含まれているため、豪勢なお祝い料理を食べたあとにシッケを飲むと消化が助けられます
韓国ではチムジルバンというサウナがあり、このサウナでもシッケが定番の飲み物として人気です
◆水正菓(スジョンガ)
ショウガと桂皮(ケイヒ/シナモンのこと)をコトコトと煮出してから、砂糖やハチミツを好みで加え、干し柿や松の実を浮かべた物です。
飲み物と言うよりもデザート感覚で楽しめます
本来のスジョンガは干し柿と水を煮込んでショウガを加えましたが、今では干し柿をあと入れするのが一般的になりました。
ショウガと桂皮は漢方の材料にもなっているぐらいに薬効が高く、どちらも体を温める働きがあります。
お正月はキンキンに冷やしたスジョンガを、暖かなオンドル部屋で飲む醍醐味があります。
またスジョンガに入れる干し柿は、クルミを巻き入れた「コッカムサム」といった干し柿のお菓子を使うこともあります。
年末も差し迫り、新しい年を迎えます。
お正月に韓国の飲み物を味わうのも、いつもと少し目先が変わって良いのではないでしょうか
そこで、今回は「スジョンガ」のレシピをご紹介します
シッケの手作りはちょっと手間がかかりますが、スジョンガは手軽に作れますので、ぜひ作ってみて下さいね